水曜日, 12月 16, 2009

今宵シンデレラ


マリアナにカリフォルニア土産でもらったコーヒーを、入浴剤と間違ってお風呂に入れたことを2回前のブログに書いた。
気の毒に思ってくれたマリアナが、うれしいことに本物の入浴剤をひとつくれた。


(写真)

---という訳で、今夜はシンデレラバス。
お湯に入れたらすぐにきれいなピンク色になって、風呂場に立ちこめる香りもとっても晴れやかだ!!
気持ちがふわっと軽くなった。---これがシンデレラ気分でしょうか?
飛べるほどではないのが残念ですが---。


説明を読んでみた。
「本品は飲食物ではありません」
うん、わかってる。

説明書を読んで、正しく使えば、
身は安全なのだ。

In the fact---説明書きではああ言っているけど、少し飲んでみた。

生バラの味がした。

月曜日, 12月 14, 2009

お兄さん,どこ行くの?


今朝、出勤途上の地下鉄車内でのこと。座席が開いていたので座って本を読んでいたら、どことなく不自然な女の人のおしゃべりが、聞こえてきた。
声の感じと話し方からいくと、独り言のように聞こえるし、相手がいるようにも聞こえる。

こんな風だった---

声は可愛い印象を持たれることを狙ったモードに、スイッチが入っている。

「すいません、わたし、お酒臭いでしょう?」
返事聞こえず。
「これからバイトに行くんだけどォ、朝まで飲んでいたから、
わたしィ、お酒の匂いがしてェ、メイワクじゃあないかと思ってェ、----すいません」
「-----」
「お酒の匂いがすると、叱られるんですゥ-- だけど、休んじゃうとォ、お金もらえないしィ--」舌っ足らずだけど、話し方は景気がいい。
「----」
「エチケットブレスをたくさん食べたんだけどゥ--まだ、匂うでしょう?」
「いや、わからない---」
やっと相手の声が聞こえた。ボソッと返事をしている。学生かな?

「さっきまで飲んでいたんですよゥ」
「どのくらい飲んだの?」
「ビールを6本とォ、焼酎をなんとかかんとか--」
「すごいんだね」
「だから、お酒の匂いがするでしょう?」
 
返事聞こえずだが、
三軒茶屋駅で大勢の人が乗り込んできたので、
押されてふたりの物理的距離は縮まったのだろう。
女の声の大きさと質が変わる。

「お酒の匂いがすると怒られるんデスよ。オーナーは変わってる人だから--- それにエッチだし。あちこち触るんですよォ!!」
さっきの返事と、この話題なら相手は少なくとも中学生や高校生ではなさそうだ。
返事なし。賢明だ。

何かが視界に入ったらしい。また声の調子と位置が変わった。
頭を男の持っている物に近づけたのだろう。

「わあ!それなんですか?えーっ、ゲーム? 面白そうですねェ。お兄さん、ゲーム、好きなのォ?」
「ああ--」返事は小さな声だった。
「見せてェ」声が動いた。女の頭が相手に近付いたのだろう。

私はだんだん興味が湧いてきた。この声の主はいったいどんな人なんだろう?
彼女は座っている私の膝頭の右側に立っているので、少し首を上げて覗いてみることは 簡単だ。
声に「可愛い路線」を選んでいることが、彼女の背が低いことを予想させていたが、まさにその通りで、身長は150cmもないだろう。艶のない茶髪を無造作に背中に垂らした、これといった特徴のない普段着の服装と平凡な丸い顔をした35歳前後、というところだろうか。顔の部品やレイアウトは、はっきり言ってエレガントとは言い難い。

会話は続く--- .
「お兄さん、これからどこにいくのォ?」

これを聞いた私は読んでいた本をパタンと閉じてバッグに入れた。
手にしている本は「西行」の青年時代を述べているが、会話に気をとられてさっぱり頭に入らないし、こっちの方が断然面白そうだもの。

男は答える。
「秋葉原--」
「へえ--。何しに--? でも、この電車じゃあ、行けないでしょう? どこで乗りかえるの?」
「---ぼそぼそ---」
「わたし、今日バイトに行ってもお酒の匂いで叱られるから、行きたくないなあ--。でもそうすると、お金もらえないしィ---」

女はアルバイトに行かないことが可能であることを言っている。そして今日いちにちの稼ぎも必要だ、とも。

もう、耳がダンボになりそう、わたし---。


電車がスピードを落とし、ホームに入ったようだ。窓から白色の光が大量に入って来る。
もしかしたら、もう渋谷駅??

車内で何が起きているのか、何にも知らない東急電鉄のアナウンサーが叫ぶ。
「しぶゥやァ、しぶゥやァ、お降りのお客様は足もとに、云々---」

ああ、残念だ。この女がこれから何を言うか、そしてこの男の人がどういう反応をするかを見届けたい、が--わたしはここで降りなければならない。

電車を降りる時、せめても、と思い、すれ違いざまに「お兄さん」の顔を見た。

毛糸で編んだ帽子をかぶってゆるいジーンズをはき、白髪まじりの短いあごひげをはやした男だった。老人ではない。
混雑の中、二人とも渋谷では降りずに束になってドアの脇にへばりついていた。

この後、会話はどのように展開するのだろうか?

まさに桐野夏生ワールド。彼女だったらきっと面白いサスペンスを書くだろうに。


でも後で思った。わたし、深読みし過ぎかもしれない、と。

土曜日, 12月 12, 2009

何でもありよ。


何日か前のこと。
久しぶりに東京に来た、という Ms.C. は、いつもたくさんのお買い上げなので、佐川急便で彼女の住んでいる離れ島まで配達することになっている。

カウンターに積まれた本を箱に詰めようとしていると、「ちょっと待って下さい」と言って、着ている紺色のコートを脱ぎ、黄緑色のカーディガンも脱ぎ始めた。
(なんだ!!どうした!!)と、見ていたら「暑いから--」と、脱いだ物を私に手渡し、これも入れて送ってくれという。
「いいですよ、お安いご用です」。

すると、今度ははいているゴム長靴を脱ぎ始め 、
エコバッグにいれてあったスニーカーに履き替えている。
そしてカウンター越しにゴム長靴を私によこす。そして言った。
「今朝、家を出るとき、雨が降っていたので長靴をはいてきたけど、もういらないからこれも送って下さい」
「(そう、島は雨だったのね。)はい、全然問題ないです」

そして、「あっ、ちょっと待って。こんなこと頼んでいいかどうか、わからないけど---」
と言う。「どうぞ、なんでも----」と聞くと、これから新宿の○○に買い物に行く。
そこで買った物を8時頃までにBlue Parrotに持って来るから、一緒に送って欲しい、ということでした。
結局、本の数倍量の荷物になった。

本当のことを言うと、最初は何が始まるのかと思った。
でも,大丈夫。ちゃんとお送りしますよ。

夜、白人男性が大きなバッグにどっさり本を入れて持ってきた。
一緒にバッグの中を探ってる私に向かって、
「蛇も入っているから、気をつけて!。ほら!そこ!」なんて言う。

もう----、中学生みたいなことを言って---。
60才でも、 70才でも「男の子エッセンス」がまだまだたっぷりね、


ちょっと、ドキドキ、ヒヤッ、うふふ、----で、今日も終わる。

土曜日, 12月 05, 2009

for Christmas  

I'm fragrant with coffee today.



結婚式のためにCaliforniaに帰省したマリアナから、お土産をもらった。

ひとつはオランダ製のチョコspread/これは純度が高く、こくがあり実においしかった。

もうひとつは、長方形の小さな紙の袋に入っている物で「spa」「 ×× Hotel」等という文字がヤシの木と一緒に印刷されていて、のんびり、まったり、私の大好きなリゾートの雰囲気でいっぱいだ。耳元で振ると、さらさらと乾いた砂のように気持ちの良い音がする。

何が入っているのかしら? 形、大きさ、重さ、振った時の音からすると「草津の湯」とか「湯布院の湯」でおなじみの"入浴剤一回分"に近い。

--という訳で、朝風呂が大好きなわたしはさっそく休日であったきのうの朝、「カリフォルニア温泉、初めてだわ、ウフフ---」と、ちょうど良い温度のお湯が入った湯船にさらさら、と振り入れたのだ。
--が、ちょっと待って!!
いつもならさーっと溶けるはずなのに、こげ茶色の粒子がいつまでも溶けずに浮いている。
へんだなあ??
手を入れてかき回してみたが、粉は浮かんだままだ。
こげ茶色の入浴剤、というのも、なんだかおかしい。
それに気のせいか、なんだかコーヒーの香りがする。

(コーヒーの入浴剤かしら? そんなもの、あったっけ??)

起き抜けだから、頭の回転も鈍く、どうしたら良いのか考えもまとまらないまま、ぼんやりと湯船から目を離さないでいた。
すると、湯船の表面に散らばった顆粒状のものからエキスがだんだんに抽出されてきたのだろう、お湯がコーヒー色のマーブル模様に染まって来る。

理性の覚醒と共に、認めたくない事実への確信がじわじわとわいて来る。

どうも、入浴剤ではないどころか、コーヒーそのもののようである。

やれやれ、またもやよけいなことをしてしまった。内心、意気消沈である。
でも、気を取り直し、湯船に浮かんだコーヒーの粒子がなくなるまで、お湯を流しこぼしてやっと我が身を入れた。
手ですくってちょっと、飲んでみた--Blackでね、間違いなくコーヒーの味と香りだった。

コーヒーを掬ったり、お湯を足し続けたりで、いつもより長湯になったせいか、
風呂場を出たら、血圧が急激に下がってしまい、あっというまに目の前のものが monochromatic になった。こうなったらもはや立ってはいられず、そのまま半日ベッドに張り付けである。

後でマリアナに聞いたら、「あれは "Decaf" だったんですけど--」 と言っていた。
カフェイン入りだと、血圧はさがらなかったのかなあ?"