暮れに塩鮭の切身を何枚かいただいた。
骨を抜いて薄く切り、マリネにしてサラダに添えたら、
老母が「あら、サーモンね」と言う。
網で焼いて、ご飯と出すと、
「おいしいシャケね」と言う。
(おんなじだってば--)
わたしが主婦になりたての頃(つまり、25才前後のことね)
店頭で「きょうは、シャケが安いよーっ!」
と叫んでいる魚屋のご亭主に、
うんちくを傾けたことがある。
「ねえ、おじさん。
塩鮭って、海にいる時に捕ったもので、
生鮭は川にいる時に捕ったものなんでしょう?」
「!!------- ??」
彼の開いた口は、しばらくそのままだった。
「まあ、いいわ。
わたしの鋭い洞察に感心したので、
何も言えなかったのね、きっと---」
そう思ったまま、
誤りを訂正されるまでの数年間、
わたしは幸せに暮らした。
ああっ! 恥ずかしい!
ろじナス、という物が時折八百屋に出ている。
”ろじ--”とわざわざいうからには、
それはナスにとって何か良いことなのにちがいない。
例えば、ナスはあまり陽があたらない方がいいとか--
わたしはすぐに映像がまぶたに浮かぶ方だ。
両脇を塀に囲まれた陽のあたらない狭い道路で(これ、”ろじ”ネ)
誰かがしゃがんでなすを摘んでいるのが見える。
”狭い所で摘むのは大変ネ!!”
--なんて八百屋さんに言って、キョトンとされた事があった。
ロジって「路地」だと思っていたのよね。「露地」ではなくて。
オオーッ,主よ!!
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