水曜日, 12月 16, 2009

今宵シンデレラ


マリアナにカリフォルニア土産でもらったコーヒーを、入浴剤と間違ってお風呂に入れたことを2回前のブログに書いた。
気の毒に思ってくれたマリアナが、うれしいことに本物の入浴剤をひとつくれた。


(写真)

---という訳で、今夜はシンデレラバス。
お湯に入れたらすぐにきれいなピンク色になって、風呂場に立ちこめる香りもとっても晴れやかだ!!
気持ちがふわっと軽くなった。---これがシンデレラ気分でしょうか?
飛べるほどではないのが残念ですが---。


説明を読んでみた。
「本品は飲食物ではありません」
うん、わかってる。

説明書を読んで、正しく使えば、
身は安全なのだ。

In the fact---説明書きではああ言っているけど、少し飲んでみた。

生バラの味がした。

月曜日, 12月 14, 2009

お兄さん,どこ行くの?


今朝、出勤途上の地下鉄車内でのこと。座席が開いていたので座って本を読んでいたら、どことなく不自然な女の人のおしゃべりが、聞こえてきた。
声の感じと話し方からいくと、独り言のように聞こえるし、相手がいるようにも聞こえる。

こんな風だった---

声は可愛い印象を持たれることを狙ったモードに、スイッチが入っている。

「すいません、わたし、お酒臭いでしょう?」
返事聞こえず。
「これからバイトに行くんだけどォ、朝まで飲んでいたから、
わたしィ、お酒の匂いがしてェ、メイワクじゃあないかと思ってェ、----すいません」
「-----」
「お酒の匂いがすると、叱られるんですゥ-- だけど、休んじゃうとォ、お金もらえないしィ--」舌っ足らずだけど、話し方は景気がいい。
「----」
「エチケットブレスをたくさん食べたんだけどゥ--まだ、匂うでしょう?」
「いや、わからない---」
やっと相手の声が聞こえた。ボソッと返事をしている。学生かな?

「さっきまで飲んでいたんですよゥ」
「どのくらい飲んだの?」
「ビールを6本とォ、焼酎をなんとかかんとか--」
「すごいんだね」
「だから、お酒の匂いがするでしょう?」
 
返事聞こえずだが、
三軒茶屋駅で大勢の人が乗り込んできたので、
押されてふたりの物理的距離は縮まったのだろう。
女の声の大きさと質が変わる。

「お酒の匂いがすると怒られるんデスよ。オーナーは変わってる人だから--- それにエッチだし。あちこち触るんですよォ!!」
さっきの返事と、この話題なら相手は少なくとも中学生や高校生ではなさそうだ。
返事なし。賢明だ。

何かが視界に入ったらしい。また声の調子と位置が変わった。
頭を男の持っている物に近づけたのだろう。

「わあ!それなんですか?えーっ、ゲーム? 面白そうですねェ。お兄さん、ゲーム、好きなのォ?」
「ああ--」返事は小さな声だった。
「見せてェ」声が動いた。女の頭が相手に近付いたのだろう。

私はだんだん興味が湧いてきた。この声の主はいったいどんな人なんだろう?
彼女は座っている私の膝頭の右側に立っているので、少し首を上げて覗いてみることは 簡単だ。
声に「可愛い路線」を選んでいることが、彼女の背が低いことを予想させていたが、まさにその通りで、身長は150cmもないだろう。艶のない茶髪を無造作に背中に垂らした、これといった特徴のない普段着の服装と平凡な丸い顔をした35歳前後、というところだろうか。顔の部品やレイアウトは、はっきり言ってエレガントとは言い難い。

会話は続く--- .
「お兄さん、これからどこにいくのォ?」

これを聞いた私は読んでいた本をパタンと閉じてバッグに入れた。
手にしている本は「西行」の青年時代を述べているが、会話に気をとられてさっぱり頭に入らないし、こっちの方が断然面白そうだもの。

男は答える。
「秋葉原--」
「へえ--。何しに--? でも、この電車じゃあ、行けないでしょう? どこで乗りかえるの?」
「---ぼそぼそ---」
「わたし、今日バイトに行ってもお酒の匂いで叱られるから、行きたくないなあ--。でもそうすると、お金もらえないしィ---」

女はアルバイトに行かないことが可能であることを言っている。そして今日いちにちの稼ぎも必要だ、とも。

もう、耳がダンボになりそう、わたし---。


電車がスピードを落とし、ホームに入ったようだ。窓から白色の光が大量に入って来る。
もしかしたら、もう渋谷駅??

車内で何が起きているのか、何にも知らない東急電鉄のアナウンサーが叫ぶ。
「しぶゥやァ、しぶゥやァ、お降りのお客様は足もとに、云々---」

ああ、残念だ。この女がこれから何を言うか、そしてこの男の人がどういう反応をするかを見届けたい、が--わたしはここで降りなければならない。

電車を降りる時、せめても、と思い、すれ違いざまに「お兄さん」の顔を見た。

毛糸で編んだ帽子をかぶってゆるいジーンズをはき、白髪まじりの短いあごひげをはやした男だった。老人ではない。
混雑の中、二人とも渋谷では降りずに束になってドアの脇にへばりついていた。

この後、会話はどのように展開するのだろうか?

まさに桐野夏生ワールド。彼女だったらきっと面白いサスペンスを書くだろうに。


でも後で思った。わたし、深読みし過ぎかもしれない、と。

土曜日, 12月 12, 2009

何でもありよ。


何日か前のこと。
久しぶりに東京に来た、という Ms.C. は、いつもたくさんのお買い上げなので、佐川急便で彼女の住んでいる離れ島まで配達することになっている。

カウンターに積まれた本を箱に詰めようとしていると、「ちょっと待って下さい」と言って、着ている紺色のコートを脱ぎ、黄緑色のカーディガンも脱ぎ始めた。
(なんだ!!どうした!!)と、見ていたら「暑いから--」と、脱いだ物を私に手渡し、これも入れて送ってくれという。
「いいですよ、お安いご用です」。

すると、今度ははいているゴム長靴を脱ぎ始め 、
エコバッグにいれてあったスニーカーに履き替えている。
そしてカウンター越しにゴム長靴を私によこす。そして言った。
「今朝、家を出るとき、雨が降っていたので長靴をはいてきたけど、もういらないからこれも送って下さい」
「(そう、島は雨だったのね。)はい、全然問題ないです」

そして、「あっ、ちょっと待って。こんなこと頼んでいいかどうか、わからないけど---」
と言う。「どうぞ、なんでも----」と聞くと、これから新宿の○○に買い物に行く。
そこで買った物を8時頃までにBlue Parrotに持って来るから、一緒に送って欲しい、ということでした。
結局、本の数倍量の荷物になった。

本当のことを言うと、最初は何が始まるのかと思った。
でも,大丈夫。ちゃんとお送りしますよ。

夜、白人男性が大きなバッグにどっさり本を入れて持ってきた。
一緒にバッグの中を探ってる私に向かって、
「蛇も入っているから、気をつけて!。ほら!そこ!」なんて言う。

もう----、中学生みたいなことを言って---。
60才でも、 70才でも「男の子エッセンス」がまだまだたっぷりね、


ちょっと、ドキドキ、ヒヤッ、うふふ、----で、今日も終わる。

土曜日, 12月 05, 2009

for Christmas  

I'm fragrant with coffee today.



結婚式のためにCaliforniaに帰省したマリアナから、お土産をもらった。

ひとつはオランダ製のチョコspread/これは純度が高く、こくがあり実においしかった。

もうひとつは、長方形の小さな紙の袋に入っている物で「spa」「 ×× Hotel」等という文字がヤシの木と一緒に印刷されていて、のんびり、まったり、私の大好きなリゾートの雰囲気でいっぱいだ。耳元で振ると、さらさらと乾いた砂のように気持ちの良い音がする。

何が入っているのかしら? 形、大きさ、重さ、振った時の音からすると「草津の湯」とか「湯布院の湯」でおなじみの"入浴剤一回分"に近い。

--という訳で、朝風呂が大好きなわたしはさっそく休日であったきのうの朝、「カリフォルニア温泉、初めてだわ、ウフフ---」と、ちょうど良い温度のお湯が入った湯船にさらさら、と振り入れたのだ。
--が、ちょっと待って!!
いつもならさーっと溶けるはずなのに、こげ茶色の粒子がいつまでも溶けずに浮いている。
へんだなあ??
手を入れてかき回してみたが、粉は浮かんだままだ。
こげ茶色の入浴剤、というのも、なんだかおかしい。
それに気のせいか、なんだかコーヒーの香りがする。

(コーヒーの入浴剤かしら? そんなもの、あったっけ??)

起き抜けだから、頭の回転も鈍く、どうしたら良いのか考えもまとまらないまま、ぼんやりと湯船から目を離さないでいた。
すると、湯船の表面に散らばった顆粒状のものからエキスがだんだんに抽出されてきたのだろう、お湯がコーヒー色のマーブル模様に染まって来る。

理性の覚醒と共に、認めたくない事実への確信がじわじわとわいて来る。

どうも、入浴剤ではないどころか、コーヒーそのもののようである。

やれやれ、またもやよけいなことをしてしまった。内心、意気消沈である。
でも、気を取り直し、湯船に浮かんだコーヒーの粒子がなくなるまで、お湯を流しこぼしてやっと我が身を入れた。
手ですくってちょっと、飲んでみた--Blackでね、間違いなくコーヒーの味と香りだった。

コーヒーを掬ったり、お湯を足し続けたりで、いつもより長湯になったせいか、
風呂場を出たら、血圧が急激に下がってしまい、あっというまに目の前のものが monochromatic になった。こうなったらもはや立ってはいられず、そのまま半日ベッドに張り付けである。

後でマリアナに聞いたら、「あれは "Decaf" だったんですけど--」 と言っていた。
カフェイン入りだと、血圧はさがらなかったのかなあ?"

日曜日, 11月 22, 2009

彼ったら、優しいんだから---


周りを見渡してみると、
見た目だけではなく、
中身もかなり優しい男が多いことに気がついた。

(その--1)
スタッフのひとり、韓国からきているMIN さんの婚約者は、DNA の保証つき、ルクセンブルグ/ベジタリアン君である。肉を食べない理由は、
「だって---かわいそう」---だそうだ。

私は MIN さん聞いた。「なんで、かわいそう??」
MIN さんは言った。「さあ、わかりません」

----でしょうね、
彼女は「プールの後は、プルコギよ(韓国風焼き肉)!!プルコギの後はカラオケよ!!」という人ですから。

ゴキブリが部屋を歩き回っているのを見ると、
MIN さんはスリッパをつかんだ手と、強い意志が漲っている眉毛をキーッと引き上げて、必殺の体制に入る。
彼はそれを「don't、don't」と必死で止めて、
ゴキブリにフランス語で優しく言う。

「早くそこのドアからお帰り---」

「帰る? ドアから?」
「そうなんです。そう言うんです」

(その-2)
Stephen はゴキブリをみるとつい「ワァー」--と叫んでしまうのだ。
だって、嫌いなんだもの。
ついこのあいだのこと、無心でキーをたたいている Stephen とコンピュータ–の中間地帯をゴキブリが無断で飛行した。
「ワァー」

Stephen の叫び声を聞いた妻のハンナが、隣の部屋でこう言う。
WHAT ??

日本語で言えばさしずめ「なぬ!!どした!!」---でしょうね。

Stephen は震える声で「 ゴキブリflew over me !」と言う。

すると、スリッパをつかんだワイフはつかつかとやってくる。
その足音を聞いたゴキは、すぐに全身の筋肉が萎縮してしまい、ポタッと床に落ちる。

彼女はスリッパを振り上げる。--そして
 ピシャ!!(--まず、おもいっきり頭を叩きつぶす)
 ペンペン!!(--胴腹をつぶす、とどめの音ね)
 カサコソ(テッシュペーパーでゴキを取り去る音)
 トポトポ!!(ゴキが潰された場所に消毒の漂白剤をかける音)

正味、3秒よ。

その後「Don't worry honey」----って言うかどうかしらないが---

これが現実です。
どちらが卵なのか、わたしにはさっぱりわかりません。

本当なんだから。







 

木曜日, 10月 15, 2009

Steven‘s Holiday

あなたが一番♫♪---
あなたも、一番よ♪---

火曜日, 9月 29, 2009

カフェオレ団子


「これ、食べてください」

------とマリアナがさしだしたのは、あんこの乗っかったくし団子二本入りパック。

生クリームらしきものがデコレーションケーキの飾りのようにうねってあんこの上にかかっている。

「クリームがかかっているお団子なんて、めずらしいわね。
わたしはじめて!!
さっそく頂くわ!!ドレドレ --- 」  --- ルンルン ♫ ♪ ♬


「それ、カフェオレ団子なんですよ」

「 --- ん?(what?) 」

「カフェオレの味なんです」

「????? あんこがカフェオレの味なの?」

「そうです」

「 そうなの?(私、ちょっと引いた )一本でいいわよ --- わたし」

「どうぞ食べてください」

「そお---。では、ありがと」


---で、一本のつもりが続けて二本、食べてしまった。


おいしいのです、これが。

食べてから、しみじみ思った。

”チョコまんじゅう”というのがあってあれはおいしい、と納得済みなのに、

その経験を瞬時にいかせず、先入観にしばられていたなぁ〜って。



マリアナはこう言っていた。

「これは面白い味です」

やっぱり、マリアナもガイジンとはいえ、そう思うのかぁ。

(このお団子は、ブログに載せるために買ってきたものです。
ちょうど Laura さんがお店にみえたので、食べて頂きました。
ローラさんは「うん、おいしい。いけるわよ、これ」って言っていました、

火曜日, 9月 15, 2009

言ってる矢先に---^^^

前回、年を重ねたら「ギャー!!」と叫ぶような失敗は少なくなった、と書いたばかりなのに、
----なんたることか、私の携帯電話が突然、機能不全になった。

そろそろ買い替えよう、と思っていた矢先に、突然、何をどうやっても電源が入らなくかった
電源が入らないのはいいとしても、入らないことにはデータを抜き出せないという。
手数料だけ払って新しい機種を手に入れたが、データは空っぽ。
イヤハヤ-----。

電池パックを3個も買ってとっかえひっかえ入れ替えてみたが、だめだ。


娘が言う。「エーッ、バックアップとっていないの??もーっ、信じられない!!』


私はソフトバンクに行ってこう言った。「何の前触れも無く壊れたんですけど--」

「お客様--それは機械ですから-----。突然壊れるのが、普通です。」

「そ、そ、そんな---でも本当ね」


私のうかつさが招いたこととは言え、
あーあ。

土曜日, 9月 05, 2009

もう これっきりなのね :(


一日働いて疲れた身体でバスを降り立ち、とぼとぼ歩いて角をふたつ曲がると、古いマンションの中庭に行き着く。
日中の暑さでぐったりしている草木を横目で見ながらなお歩くと、そこには一日中私を待ちわび、行けば優しく迎え、わくわくドキドキさせてくれる「男」、---ではなく「ジンジャーリリー/花みょうが」が待っているはずなのですけど、残念ながら今年から見ることができなくなった。(blogger "I'm helpless Against It"2008/Aug)

そこは家の近くにあるのだが、背の高い雑草がわさわさ茂っているかなり大きい空地である。
その片隅に植えられたジンジャーリリーは金網に身をすりつけ、白い花をつけた頭をユラユラさせて私を迎える。
おまけに煌めく夢のような香りとグルになって私のこゝろを虜にしたのだ。
逢瀬は夏の間のほんの短い期間だが、わたしは仕事帰りの深夜、あたかも不倫をしているかのように人目を忍んでこっそり回り道をして、これを眺めるのがここ数年の密かな楽しみになったのでした。
ところが、数ヶ月前のある日、その空地はつるつるに草むしりをされた後、あっと言う間にコンクリートが打たれ月極駐車場になってしまった。
「私に断りも無く、なんてことをするの---もう」。
意気消沈しました。

---と、まあ、こういう些末なことに感情をむき出しにするのは セルフコントロールによる自己防衛でもあります。
だって、本番の危機の時は冷静な判断を要求されるから、ああだ、こうだと押し寄せる感情は、足で蹴飛ばして押し入れにしまい込んでないものにしまうでしょう?

でも、そんな分の悪い「感情」だって、出番が欲しいに違いない。
----こう、思うのであります。
だから、差し支えない場面でたまにそういう「場」を造ってあげるのね。

(つぶやき):年齢を重ねるって一般的に「ギャーッ」と叫ぶような失敗は少なくなるけど、ちょっとつまらないね。

日曜日, 6月 28, 2009

ユーミン、こける too

今日も朝から絶え間なく雨が降っている。

夕方にGaryがお店に現れた。

雨の中で小さな虹を見つけた時のように、
少しさわやかな気分になってもらいたいと思い、
6月15日にこのblogに載せたSteven の写真、”Image of June"を開いて見せた。

ついでに「短いpoemも、あるのよ--」と言ったら、
「日本語で読んで」とリクエストされたので、
添付したユーミンの歌詞を日本語で読み、
ついでに歌ってしまった(うわーっ、なんてことを!!)

そして、English ではなく、Mayumi-English--/俗に、マユミングリッシュと言われています、はい/に訳して聞いてもらった(below)

----「6月は 青くけむって、
何もかもにじませている。
雨の Station、会える気がして
いくつ 人影 見送っただろう」


---In June, its raining.
---its misted with blue and oozed with every thing--
---I felt I'll see someone I love--
---How many figure I saw off at the Station, but I could not---etc.

わたしの訳し方が無味乾燥で、
情緒も色気も不足だったのでしょうか?
(---ですね)

彼は言った。
「渋谷の忠犬ハチ公みたいだね」

Exactly!!
わたしの頭に、意味もなくぼんやりかかっていた水色のロマンチックなベールが、
伸ばされた竹竿で、ヒョイとすくい取られたようだった。
わたし、爆笑止まらず。そこで作ってみました。

無題
細雨籠馬場
店如金魚鉢
雅梨来詩開
臨之宣精髄
我爆笑不止
如河馬小便


6月は 青くけむって、何もかもにじませている。
雨の Station、会える気がして
いくつ 人影 見送っただろう。


Picture by Steven Morin

火曜日, 6月 23, 2009

漱石と太宰/Souseki & Dazai

Picture by Stephen.Livovith of Blue Parrot

今年は太宰治の生誕100年だそうで、おなじみの頬つえをついた彼の物憂げな顔写真が、新聞や何やら、いろいろなところに登場している。

太宰治といえば数年前、お店で外国の婦人同士が Japanese Literature Section の前で太宰の話をしていた。
こんなふうでした。
「あなた、ダザイ読んだ?」
「エッ!、ダサイ?」
「ダサイじゃあないのよ、ダザイよ。ダサイは not coolのことよ。」
        (blog/2006/ March Title/「負けたわ」)

太宰が書いた物を読んだり、心中事件を何回か引き起こした事ことを見れば、さぞかしたくさんの悩みを溜め込んで苦しんでいたのだろうと想像できる。ところが、三島由紀夫に言わせるとこうなる。
「太宰の悩みなんか、冷水摩擦をすればなおるよ」。そうかぁ。生前の太宰に知らせたかった。

ついでながら、夏目漱石は1867年2月9日生まれなので、今年は生誕142年。(半端な数字ですが--)
彼は30台前半に初の政府給付留学生として英国に足掛け3年滞在した。ところが留学先のロンドンで、英国文明との齟齬を味わい、英文学研究への挫折やら妻からさっぱり手紙がこなくて寂しい--等等をきっかけにして神経衰弱になった(当時の判断なので正確ではないのだろう。今では気分障害、統合失調症、または混合だったであろう、ともいわれている)。「夏目、狂う」とうわさが日本に流れたり、精神科の医者自らが転地療養を段取りしてくれたり、と、かなり深刻だったようだ。資金の不足な中、昼食代を削って買い求めた古本はなんと500冊にもなったという。古本の山に囲まれて「孤独で不確かな自己存在」という亡霊と四六時中顔をつきあわせ、誰ともつきあわず、暗くて寒い部屋で水ばかり飲んでムキになって勉強していたのだろう。家主は漱石が灯りをつけない真っ暗な部屋で泣いているのを何度も聞いている。
  
無題
金様哀乏寒
乾母籠焦燥 
涙流如黄河
哀切止縲縲 
独寂寞想君

「嗚呼、夏目の金ちゃん(彼の本名/金之助)がそんなつらい想いを---」と、彼を恋するわたしは胸が傷む。
時間と空間を超越できさえすれば、SwiftでもAustinでも何でも、お望み通り差し上げられるのになあ--.

しかし、その当時、誰かがこんなことを言ってたそうだ。
「夏目はロンドンで本にばかり金を使わないで、もっと社交に金を使うべきだった。そうすれば神経衰弱になんかならないですんだ筈だよ---」

前回blogに引き続き、これもまた脱力感で膝がカックンとなってしまいそう。そういう問題かなア~と。
漱石と太宰、二人がなんて答えるのか聞いてみたいところだ。

上の写真は漱石が27=28歳の頃のもの。
もらわれてきた子犬のような目をして、何ともいたいけな感じだ。彼はこの後、松山に行っている。
左の写真は、1901年2月2日漱石がロンドンに滞在中、下宿先の主人と連れ立って見に行ったヴィクトリア女王の葬儀の様子。
漱石の背が低いため葬儀の行列が見えないので下宿屋の主人は彼に肩車をしてあげた、ということだ。
(Picture by " The Guardian Century"---漱石が、ここにいる可能性があるので目を凝らしているのですが--)

木曜日, 6月 18, 2009

Exactly!! But---こけそう


「 Keep Right 」Yes, I will. but--。

外国人の知り合いに、破産/倒産した、またはしそうな会社を相手に仕事をしている人がいる。仕事の内容はよく分からないが、とにかく屋台骨の傾いた会社に破産の情報を伝えに行くそうだ。
行った時、何と言うか、というと「皆さん、ニュースです」。
---こう言う、と彼は言っていた。

別の外国人がいる。
彼は大事な自分のカメラを色が褪せた、たいそう古ぼけた布にくるんでおく。
その布があんまりボロッチィので「何故こんな布でくるんでおくの?」と聞いたことがある。
するとこう言った。「こうしておくと、泥棒がこれを見た時 ”嗚呼、これはとても汚いキレです。きっと悪いものが入っているのでしょう”と思って、盗らないよ」
「そっーかー」

お店で本を書棚におさめている時、韓国の若い女性がわたしに本の説明をしてくれました。「マユミさん、この本は ”わたし、男だったんですけど、女になってみました”---という本ですよ」。どれどれ??と手に取ってみたら、Gay Study の本でした。

これらを聞いた時は、生暖かい春爛漫の昼日中、伊豆かどこかその辺りの屋外で足湯を使っているような、
なんとも言いようにない脱力感でこけてしまいそうになった。
ユルユルで、なんだか、いいな。
Sponsor of the picture is Gary.W


尚--この写真は地球儀ではなくて実写です。地図と同じ色をしているのでびっくり!初めは刻みネギの乗っかった鯵のタタキかと思ったけど---。
こうして見ると、地球って大きいのか小さいのかわからないのですが、
なんだか、ゆっくりと深い息をして、ぐっすり眠っている大きな獣のようにわたしには見えるのです。

携帯電話の画面をゆびさして、「ここは今昼で、ここは夜」--と、いつも地球の実況中継を見せてくれるGaryが、メールで送ってくれました。
不思議なことに夜も昼も、画面の右から始まって左にいくのね。

月曜日, 6月 15, 2009

A Image of June



6月は 青くけむって、何もかもにじませている。
雨の Station、会える気がして
いくつ 人影 見送っただろう。作詞ユーミン


Picture by Steven Morin

水曜日, 5月 06, 2009

" Great, you can speak English very well "

Mr. Bradley from Tennessee can speak Japanese pretty well" So, he & I chat in Japanese.
One day, I noticed he was talking a foreign in English speaking, and said to him.
"You can speak English so well :) "
"Thank you, I speak to some degree. I'll try harder in the future:) "
he said.

Yes, I'm recycle

Mater Yokomori is a Japanese student who used to work on every Sunday at the Blue Parrot, but quit because he had to concentrate on his studies.I'm sorry he had to quit.
It is difficult to find someone who can work Every Sunday at the Blue Parrot, and I was going to have to work on Sunday too, adding to weekend.

One day, I told this news to Gary who is one of the regular customers at the Blue Parrot.
He said to me "Ha, ha, ha--. You are being recycle!!"
I said to him. " exactly!"

( This problem has been solved, thanks )

火曜日, 4月 28, 2009

pre-認知症

Blue Parrotスタッフのマリアナ は現在日本語の勉強途中ですが、すでになかなかじょうずです。

一昨日、お店に電話があってマリアナが出た。彼女が日本語で話しているので、わたしは「フムフム、電話のあいては日本人ね--」と思っていた。そのあとマリアナが「今の電話の人、日本人なんですけど、名前はガイジンなんです」--と不思議なことを言う。
聞けば、日本語じょうずの Mr.G から買い取りの件の電話だったが、お互いの日本語があまりにじょうずなので、マリアナは彼を日本人だと思い込み、Mr.G もマリアナを日本人だと思ったようだ。
わたしはふたりの日本語じょうずぶりを知っているのでおかしくて、「まあ、最後までふたり共、日本語でしゃべったの? 彼もあなたもガイジンなのにね---」と答えたけど、言ってる先からなんだか頭の中がごちゃごちゃしてきて、「あなただれ?」「わたしだれ?」「ここはどこ?」と、ひとりで認知症の問答をしているような気持ちになった。

お客さんがお店の狭い通路を歩く時、こんでいると通れないので、『あっ、どうも--」とか声を掛けて通路を譲り合っていますが、これが日本人ではなくガイジン同士なのです。「どうも、すいません--」とかね--。

こんな時、わたしは心の中で、思わずつぶやいてしまいます。「ここはどこ?」「わたしはだれ?」「あなた、だれ?」---と。
さもないと、足場ががたがたと崩れていくような気がするのですもの。

木曜日, 4月 23, 2009

花嫁修業をしました in Hiroshima



Blue Parrot に週に二回程入ってくれるスタッフの Mariana が、
桜が満開の4月始め、婚約者の故郷/広島のご両親の家で10日間程、花嫁修業をしてきた。
「去年、はじめて訪ねた時は緊張でした」と言っていたが、今回はリラックスできたらしい。
何を料理したの?と聞いたら、パスタとかピザ、きんぴらを作って、ご両親に喜ばれたそうだ。
これは Mariana が撮影した彼の実家の近くの景色と咲いていた桜の写真。
静かで落ち着いていて、のどかな良い所なんだなあ、としみじみ思える写真です。

上の写真をごらんくださいな。どんな風にして撮ったのだろう、と不思議ですが、この写真に写っている川面を見ると「地球は丸い」ってことがよーくわかるわね。桜の花も大きくて柔らかそう。

   Yuuki kun & Mariana
   おめでとう:)





Picture by Mariana & Mayumi & Blue Parrot Library

火曜日, 4月 21, 2009

悪いけど、ちょっとこすらせて--。

<タケノコの茹で方>
*皮ごと茹でると、皮に含まれている成分が身を柔らかくするので、皮ごと茹でます。
*タワシでこすって皮にはえている茶色の短い毛をおとす。
*先端を少し切り落とし、皮をつけたまま大きく隠し包丁を入れ、赤唐辛子、ぬかと一緒に大鍋に放り込んでで50分茹でる。
*竹串がスーッと通れば火を止めてそのまま冷ます。

<レシピ>
*クリーム色の柔らかい皮と穂先は、短冊に切って人参、油揚げとタケノコ御飯に。
*本体の半分は8ミリ厚の大きい半月に切ってわかめと一緒にサッと煮る。盛りつけ後に鰹節をかける。
*残りの半分は明日、酢豚の材料にしましょう。

うん、八方、大満足。

月曜日, 4月 13, 2009

それから/And Then--


深い藍色の空の中程に、卵色の巨大な月がかけられた。
中途半端な湿気と温度が肌に心地よい。
桜の花はめでたく満開だ。
そよ、と風が吹けば、ピンク色した柔らかい花びらは素直にほぐれ、クルクル回転しながら頬に戯れかけてくる。

全ての音が地面に吸い込まれ、静まり返った深夜の住宅街。庭にこんもりと植えられている樹木の葉があるかないかの風にこすれ合わされ、夢の中で聞く足音のように、カサコソと乾いた音で耳に入ってくる。
道路の片側には腰の高さ程まで石が積まれて垣となり、そこに良く伸びた櫟井/いちいが隙間なく植えられて、50メートル程も緩やかなカーブで続いている。小振りで深い緑色の葉をみっちりつけた茂みのすきまから、庭の奥まったところに建てられた家の灯りが小さい宝石のように鋭く輝いて見え隠れしている。
湿気で輪郭がにじんでいる大きな月の柔らかな光が、目に入るもの全てを、道路の端にあるちっぽけな小石まで瑞々しく洗いあげ、黄金の光でコーティングしている。八方何もかもが実に平和で美しい。
今は夜の11時。一日の仕事を終えた人々がそれぞれの家で笑いや喜び、小さな怒り悲しみを友好的に分ち合っている頃だ。これらはみんな満足のいく素材と味付けで、しかもほどほどの量と納得の価格。それらを盛り合わせた今宵のひとときは、さしずめ腕の良いファミリーレストランのコックが料理した完璧なコースのようだ。
月の中ではウサギが遊んでいるし、海の中では竜宮城が門を大きく開き、イカとタコがあなたの来るのを待っている。携帯電話機種変更は0円で、コンビニは24時間営業だ。救急車のサイレンが狂ったように叫んで夜空を切り裂こうとも、それは他人事。そして他人に起こった出来事の感想を誰かに聞かれればこう答えるでしょう。「思ってもみませんでした」「まさか、あの人が--」「とても信じられない」etc. etc.

わたしたちは知ろうともしないし想像すらしない。この「夜」と言う名前の、人あたりの良い漆黒の塊が、この世に生きる人間の日ごとに増える欲望の重さを借りて、宇宙始まって以来の全てを呑み込んだ大地を、破けないように、吹き上がってこないように、満身の力を込めて押さえ込んでいることを。そして、何も叫ばせまいと口をふさいでいることを。
闇の中から足音も立てずにやって来た、身ぎれいで愛想の良い彼は、唇の端に薄い笑みを浮かべてわたしたちの耳に小さく囁く。
「よくみてごらん。生きることに何も問題はないだろう?。仲の良い家族があり、友達がいる。家も職もあるし、からだは丈夫だ。必要なものはみんな持っている。何も考えなくっていいんだよ。ね?見えないことは”存在しないこと”と同じなんだ。知らなくったっていいんだよ。死んだならそれっきりなんだから。分かっているだろう? 死ぬまで何事も無く生きていけばいいのさ。他人からは”いい人”といわれ、常識と法律さえ守っていれば上等さ」
彼は何度も何度も囁く。私たちは彼の口から出る一つ一つの言葉で頭の中が一杯になり、目を宙に泳がせ、幼いこどものようにコックンと頷く。彼の言うことに何の疑問を持たず、まして反対はしない。なぜならば、産まれてから今まで、同じことをくりかえしくりかえし聞かされているので、思考と感情の回路が硬直しているのだ。それ以外のことは想像もできやしない。

また、誰かが来て耳元でしゃべる。
「耳が二つあるのなら、もう一方の耳でよくお聞きなさい。
長い刀を持って、この巨大な闇と地の塊を右上から左下に向けて、バッサリと切ってごらん」続けて言う。
「暗黒の固まりに含まれている腐った臭い血が、その切り口から吹き出てくるのが見えるはずだ。産まれなかった赤ん坊が。つぶされた叫びが。消えた夢が。流されなかった涙の袋、失意、失望の抜け殻が。無知や狂気、暗愚や無分別、嫉妬や憎しみ。水をかけられた情熱や欲望、自尊心。乾涸びてしまったイマジネーション。岩場の腐った海水を探し求めて歩くフナムシのように、ぞろぞろぞろぞろでてくるのが見える筈。
そして、それぞれ固有の哀しみを持った化け物は口々に言う。
「なぜ我々をつぶしたのだ」
そうしたら、あなたたちは言わざるを得ないでしょう。
「お前たちを認めたら、私は生きていけないのよ」 」

驚いたことに、どちらの言葉も私たちの口から出て来るではないですか。

そう気づいた瞬間、体中の神経に電気が流れ、わたしたちの頭髪は逆立つ。
そして顔は死んだカエルのように白くなり、反吐が出ないように、自分の口を両手できつく押さえるのだ。

どのくらいの時間がすぎたのかわからない。そっと目を開けると、見たこともないところに立っていることに気がつく。
自分の意志ではないが、何かに背中を押されてここにたどり着いたようだ。
そして、思いもよらないことだが、来る途中で自分の物だ思っていた肉体は、コートを脱ぐように、ことわりもなく誰かに取り去られてしまったようだ。
そればかりでなく、頭に入っている筈の知識や経験、言語や思考がひとつも残っていないのだ。おまけに、何故か分からないが「今」というベルトから「永遠」というベルトに移されてしまい、今では光だと思っていたものは闇であり、闇だと思っていたものが光だとわかった。物差しの目盛りはアメーバのように絶えず動いて用をなさない。感じたことや思ったことは指のあいだからするすると抜けていくし、物事は逆さまに見える。いったいどうしたのだ。

何も判断できないので、次第に無気力になり、じーっと動かないでいる。ぼんやりした目を遠くに遣ると、白い霧がたちこめているところが見える。そこでは、目のない痩せたキリギリスたちが、破れた羽を引きずって、同じところを何度も何度もめぐり歩いているのだ。
その時わたしたちは、長いこと無視してきた、「あのこと」や「このこと」は言い訳ができないばかりか、この後、焼けるほど恥じ入りながらそれと向き合うことになる、と知らされる。

そして、最後にやっと「空」ということばが「地面に落とされた天使」の名前と同じだということに気がつくのだ。

やっと。

そう、やっと。

「でも、もう、遅い」と頭のどこかで知っている。
流す後悔の涙は酸なので、目はたちまち腐る。




pictures from the Blue Parrot library.

日曜日, 4月 12, 2009

Sun.April 19 : Black Gospel Consert


Tokyo Baptist Church

Featuring Alex Easley
Ronnie Ruker & Chofu Mass Choir
Gilbert Espineli & New Commitment Family
Sister Reid & Sound of Joy

Sunday,April 19,2009 6:30pm
9-2 Hachiyama-cho Shibuya-ku Toky
tel/03-3461-8425

(take the Tokyu trans bus from JR/Shibuya-Station South Exit to 「DAIICHI SHOUGYOU KOUKOU MAE」stop)

於:東京バプチスト教会:東横線、代官山駅下車徒歩10分
or 渋谷駅南口から東急トランセバスで「第一商業高校前」下車。
入場無料
www.tokyobaptist.org
email: info@tokyobaptist.org

ポスターのALEX はクリスチャンでありゴスペルシンガーであり、格闘技の司会もしている。そして一ヶ月に2〜3回はBlue Parrotと拘置所に行く。拘置所へは、そこで足止めを食っている外国人が日本語を学ぶ為の本/"Japanese for Biginner"とかキリスト教の伝道になるようなもの持って慰問にいくのだ。
"Japanese for Biginner"の類いの本を置いて来ると、彼らは時間があるものだから、わずか3ヶ月くらいで日本語をマスターしてしまうという。すごいなあ。誠実な ALEX の訪問がきっと彼らの励みになっているのでしょう。このポスターを持って来た日「拘置所の一人が先週、バプテスマを受けました」とニコニコ顔で言っていた。ハレルヤ!!

土曜日, 4月 11, 2009

あれば良いってものでもないです。

前回、三輪車で駒沢公園を一週した男の子は泣くことを「潔し」としなかったにもかかわらず、ついに”ママ、抱っこ”と叫んで、かっこいいだけでなく、cuteでもあった、と書いたが、ついでに彼のパパの事を思い出したので書くことにした。

当時彼の若いパパは、中東のバレーーンに単身赴任していた。
年に数回日本に戻って来るが、成田から決して真っすぐに家には帰ってこない。
どこに行くのかというと、都立大学の駅前にあるパチンコ屋だ。
赴任先で買った子供たちへのお土産が入っている大きな荷物をワキに置き、脇目も振らずパチンコ台をにらみながら指の運動をする。5〜6時間堪能して、やっと家を思い出してタクシーに乗る、というわけだ。
死ぬ程パチンコが好きなので、バレーーンでパチンコができないことがつらくてつらくて仕方がなかったようだ。
そこで彼は考えたのでしょう。パチンコ台をどこかで手に入れて、バレーーンに持って行ったのだ。もちろんパチンコ玉もね。
これを聞いた時、わたしは心底たまげた。「パチンコ台下さい」「はい、まいど。何台ですか?」「一台で良いです」---こんな風なやり取りをしたのだろうか?どうやって手に入れたのか、今もって不明だが、そのいても立ってもいられないストレートな気持ちは虚飾が無くていいね。本人は大真面目だもの。
ヨーシャ、これからは思う存分やってやるぞーっ!!(これ、彼の気持ち)
毎日が炎天の彼の地で/あたり一面砂漠なんでしょう、あそこって?)パチンコ台と二人っきりで差し向かい、バラ色の蜜甘日々を送るはずだったが、残念なことにそうはいかなかった。
なんだかつまらないのだそうだ。数回やって後は押し入れは無いから倉庫に押し込んだという。
チョコレートとかガムとかタバコの景品が無いし、軍艦マーチのようなそそったり煽ったりするBGMもない。玉が出て来る時のジャラジャラジャラ--という音も自分一人分では景気が悪い---では、張り合いがないものね。
そして相変わらず都立大学駅前のパチンコ屋に入り浸っている、と--。
彼の妻は言っていました。おわり。

月曜日, 4月 06, 2009

男のプライド



以前このブログで、飼い主の伴走がないにも関わらず、決められた通り真面目に駒沢公園をダッシュで三周も走ったり、雨の日の散歩の時、ゴミ用の黒いビニールの袋を着せられて嬉しそうに歩いている可愛いオス犬たちの事を書いた事がある(”オス犬のプライド”)。
あっぱれだ---、 けなげだ---、心意気がかっこいいじゃない!--、とわたしの心にきっちり刻まれたので彼らの姿は死ぬまで忘れないと思いますが、同じく誇り高き振る舞いを駒沢公園で見た事がある。

もう四半世紀も前、北風がヒュウーヒュウーと音をたてて吹きまくり、クロワッサンのかけらのような枯れた木の葉が空中高くまで舞い上げられていた冬の駒沢公園でのこと。娘の遊び仲間の一人でなまえは忘れてしまったが3-4歳の男の子があの寒さの中、自分の小さい三輪車で丘あり谷ありの駒沢公園サイクリングコース(2.2KM)を一人で走って無事に帰って来た。
待っていたママさんはもちろん、私たちも「すごいねー」「よくやったねー」「えらいねー」とほめた。
頬を赤くして興奮した面持ちの坊やは三輪車に乗ったまま私たちの賞賛を受けていたが(男の子って一般的に口が遅いから、まとまった事は何も言わないのね-)やおら投げ捨てるように三輪車を降り、地面にすっくと仁王立ちになったかと思うと彼の両の目からみるみる涙があふれてきた。口はミミズ文字の「への字」にゆがんで両手はしっかとこぶしをにぎり、鼻水と涙とホコリでくしゃくしゃになった顔でママを睨みつけている。周りを囲んでいた私たちが ”いったいどうしたの?”とびっくりする間もなくその子は泣きじゃくってママに駆け寄り、しがみつくと同時に言った。
”ママ、抱っこ!!!”その子の涙と鼻水が私たちに降り掛ったものだわ。

大仕事をした後だから、本当はママに甘えん坊な心をぶつけたいけど彼はそれを「潔し--」としなかったのね。でも抵抗しきれなかった。そして「無念」のくやし涙 --- ”そうか、そうか、君、よくがんばった!!”

仲間で真紀チャンと言う女の子がいた。少し年上で4歳か5歳。彼女も駒沢公園を三輪車で走った。
”お帰り-”と声をかけてふと足もとを見ると、履いていたサンダルが足の甲にあたって摺れて皮が剥け、血が出ていた。小さい足は薄赤い血で濡れてていた。ハンカチで拭いて上げたら「ありがとう」と言っていた。
枯れ葉とホコリをお供に引き連れ、めちゃくちゃに吹きまくっている北風の中、わたしは決して泣かなかった幼い頃のわたしと真紀ちゃんをそっと抱っこしてあげた。
Picture from Blue Parrot Librqry

日曜日, 3月 22, 2009

勝負下着で、どうだ!!


つい先だって、親しくしている40、50、60、70才代の女性7、8人が集まった。

「私たちの何人かはアラカンね」と一人が言った。
「それ何のこと?嵐勘十郎(昔の時代劇の映画スター)のフアンだってこと?」一番高齢の人が聞いた。
「ちがうのよ。”Around還暦”。最近40才前後の人たちのことをアラフォーて言うじゃない。だからアラカンなの。わたし先月、60歳の誕生日だったじゃない。友達が赤い下着を上下セットでプレゼントしてくれたわ」
「えっ! 赤! それって勝負下着じゃないの。あなた近々勝負の予定でもあるの?」グループの中で比較的若い世代に属する人が含み顔で聞いた。

「ええ。今度それをつけて試してみようと思ってー」
「えっ、試す?」
「そうよ、赤い下着をつけて勝負をすると勝つんですって」
「勝つって、な-に-に?」問う顔に遠慮が見えた。
「あら、何にでも勝つのよ。トランプでも競馬でもね--」そう言って湯のみ茶碗を両手で持ち、お茶をくいっと飲んだ。

「お友達はその下着、どこで買ったの?」
別の人が聞いた。
「巣鴨ですって。ほら、とげ抜き地蔵のある---(注/おばあちゃんの原宿ね)」

「なーんだ」
「はあ--?」

Photo by Colin McDowell "Jean Paul Gaultier "

木曜日, 3月 12, 2009

Spring Book Sale


Hello,

We'll have a Spring Bargain Sale from Saturday 21rst to Sunday 29th March.

50% OFF-- All used items

We look forward to your visit.

thanks.

月曜日, 3月 09, 2009

わーっ、Blue Parrotがない!!

高田馬場はこの数日、白っぽい灰色の雲にフンワリくるまれている。強い風が吹くと淡い桃色の梅の花びらがほどけて、くるくると舞いながら春の気配がする空気に吸い込まれていくのが窓ガラス越しに見える。少し肌寒くて少し暖かい。
こういうのを「梅曇り」というのでしょうか?
あっ、言わないか。

うぐいすの声は聞こえないけど、お店で電話のベルがなった。

"Are you open today?"きょうは開いていますか? と電話の向こうで言う、
そして"Where is the Blue Parrot?"
ともいうので、わたしは「あっ、これははじめて店に来るお客さんだ」と判断した。
道順を教える場合、一番大事なことは「相手がどちらに背を向けてどこに立って電話をしているか」ですから、わたしは聞いた。
"Where are you now?" どこにいますか?
"In front of the Blue parrot" ブルーパロットの前だよ。
わたしは???? ですが、この世にはいろいろな人がいるし、人にはいろんな事情があるのだ、とこの長い人生でよーく教えられたのでいちいちには驚かないことになっている。こういう矛盾を含む内容はいくら考えても分からないのだ。
ですからこういう場合は根本的な疑問には目をつむって、トピックスをすぐ切り替える。これは「すり替え」といって、わたしがよく使うずるい手口だ。このやり方は自分の感情を発動しないので事後の問題が最小限ですむ、というメリットがある。−−で、言った。
「どうぞエレベータ−をご利用下さい」
“Would you take an elevator if you like"
"Oh, thanks"

そして10秒後に彼は来た。お顔を見れば一ヶ月に一度は来る顔見知りの若い白人男性ではないですか。当然、「認知症」や「要介護」「要支援」のどれにも該当しない。
”どうして電話しましたか?”わたしは聞いた。
だって、不思議だったのですもの---。

彼の話を聞いて納得した。
実はBlue Parrotが入っているビルの並びは間口の狭い建物が林立していているのだが、現在隣のビルは建築中でそのまた隣は解体中なのです。丁度夕暮れ時、歯が2-3本抜けた口の中のようにもの寂しい一角を見て、彼は”アーっ、Blue Parrotのビルがなくなってしまった!!”とあせってしまったらしい。それで電話をしてきたのね。

今 彼はさっきの慌てっぷりは何処へやら、本を入れたバスケットを片手にさげて足取りも軽く、鼻歌まじりで店内を歩き回っているので、その間にこのブログをかいているのですけど--。
もーっ、あわてん坊なんだから---。

木曜日, 2月 19, 2009

冷たい雨にうたれて--


1ヶ月程前の1月中旬。朝から冷たい雨が降っている。JR/渋谷駅南口。一日が終わろうとしている午後10時だ。

改札口を出た人々が、お互いの体が触れないように肩先の角度を変えながら早足にすれ違って行く。

駅の開口部分にある花屋は、店じまいの時間なのだろう。白いつなぎを着た小柄な若い女性が、売れ残りのガーベラやフリージア、バラなどを新聞紙で大きく束ね、両手で抱えて店のかたわらに止めた車に運んでいる。濡れた手が赤くなっている。煌々とつけられた店の灯りが髪を後ろに束ねた彼女の丸い顔をクッキリと照らして、何かの舞台の一場面を見ているようだ。バケツに入ったままの百合の強い匂いと、ホコリまじりの雨の匂い、一日を外で過ごした人たちのまだ沈み切らない高揚したままの気分が混じり合って、花屋の一角は暖かく生き生きしたものがあふれていた。

今夜は一段と寒い。
わたしは傘を傾けて風と冷たい雨を避ける。

雨水で覆われたアスファルトは、ビルの壁面に取り付けられた広告のライトを浴びて、ニスでも流したように光っている。靴先をつけるたびに、水に映された光の輪郭はたちまちに砕かれ、小さなかけらになってワラワラと散って行く。そしてすぐに新しい形が作られる。--- また崩れ---また新しい形になり---と限がなく繰り返している。
みんな急ぎ足で歩いている。わたしもバスを逃すまいと、早足になる。
駅前の信号が赤になる前に渡ってしまおうと思った。

それがいけなかった。
突然、雨の夜空にピンクの傘がフワリ、と浮かんだ。

メリーポピンズが空からやって来たのではなく、
わたしが足を滑らして転び、傘が手を離れたからであります。

一瞬後には、鼻の10cm先にアスファルトの地面があった。
目の前には見たい訳ではないのに真っ暗な夜空がいっぱいに広がっている。冷たい雨が、情けも配慮もことわりもなく真上から顔を打ってくる。この角度で見る雨の夜空にも、顔に当たる強い雨脚にも記憶があるのが何とも無念だ。

私は、心の中で言う。
嗚呼、また、やってしまった。

実は先月も全く同じ条件、つまり雨の夜、30cmと違わない場所で滑って転んだのだ。
二回も同じところでこけた原因は、もちろんこのシーズンに買ったブーツにあるのであって、もしかしたらわたしが老化したため鈍くなっているのではないか? などとは夢にも考えたこともない。だけど、一ヶ月もたたない内に同じ事をしてしまった面目なさがわたしを打ちのめした。高麗人参エキスを倍量呑んでもさっぱり元気が出ない。夏目漱石が心の葛藤を持て余したあげく松山に移り住んだように、わたしもどこかに隠れたい気持ちになった。
わたしの人生って「自己を高めるには---」なんて課題は「おとといおいで」といわれるほどに問題外で、いつもこんな風に自分が招いたハプニングのあと始末に追われているんだ---と、情けないったらありゃあしない。
夏目漱石著「門」の宗助とお米さんのように、世間や雑事からなるたけ離れて、非日常的に日常生活を送り(ただ、掃除等はあまりしないっていう意味ね--)、七輪にかけた白菜鍋でもつついて暮らしたい、っていうのに。いつの事やら---。「矢切の渡し」や「枯れすすき」tasteでも良いけど---。(何も逃げる必要はないのだが---)
ねん挫した足首が腫れて痛いのので、いつも行っている整形外科に行った。
私があんまり頻繁に行くものだから、医師は「今度は、何したの?」と笑いを噛み殺して、私に聞く。
まあ、とりあえず、靴の修理店にもって行ってブーツの底に決して滑らない何かを張ってもらおう。

誰かの本に、
we are such stuff as dream are made of; and our little life is rounded by a sleep----とあったけど、
わたしのはずいぶん痛い夢だ。
これから先、冷たい雨が降るたび、
わたしは何回もこの事を思いだすでしょう。
そして、わたしの人生って、自分がしたことのあと始末の連続なんだ、この事実を受け入れよう、って再確認することにする。
picture from " The Book of Bunny Suicides" by Andy Riley."Madeline" by Ludwig Bemelmans. Mayumi painted.

日曜日, 1月 18, 2009

英語もいけるのね。

日本語が達者なお客さんが多いなかでも、
テネシー出身のブラッドリーさんはとりわけお上手で、
わたしたちはいつも日本語でおしゃべりしているのです。

ある日、彼が店に来た外国のお客さんと英語で話すのを見て、
そのあまりの流暢さにわたしはびっくりして、思わず言ってしまった。

「ブラッドリーさんって、英語、お上手なんですねー」

「はい、おかげさまでいちおうは。でも、もっとがんばります!」そう言っていた。

土曜日, 1月 17, 2009

リサイクルです

日曜日にBlue Parrotで働いてくれていた大学生の横森くんが、勉強が忙しくなったので、昨年末でアルバイトをやめることになった。本当に残念!!

日曜日に働ける人がなかなか見つからないので、
とりあえずわたしがはいることにした。

このことをお客さんの William に言ったところ
「アハハハ---you のリサイクルだね」--- だって。

Exactly!! おっしゃるとおりです。
( This problem has been solved, thanks )

”ババノロメンデンシャ”

お店で、いきなり「ロメンデンシャはどこですか」---ときた。

前置きなしの質問には、慣れていますけど、理解が追いつかない。
頭の中をカタカナが飛び跳ね、駆け巡るが、脳内のシナプスが十分に連結してくれない。
日本語で「道路を走る電車です」と補足してくれてやっとわかった。

いわゆるチンチン電車のことでした。

聞くところによるとそのドイツ人らしき若いご夫妻は、
週末ごとに山手線の一駅を選び、あたりを探索するのを楽しみにしているそうだ。

いいなあ、☂ても、☼ても、♥♥で ♒♪♪♬♪ なんて、楽しそうじゃあない?

-- で、「今週は高田馬場になりました---」そうだ。

「ネットで見たら、高田馬場にロメンデンシャとBLUE PARROT がありました。」と言うので、
馬場の「売り」は「BLUE PARROT」 と「路面電車」なのはわかった。

でも、わたしはチンチン電車、馬場で見た事があったっけ?---。

---で、チェックしたところ、ありました、ありました都電荒川線「早稲田/三ノ輪橋」

いつか,見に行きたいな。

土曜日, 1月 03, 2009

牛丼の”吉野や”とBlue Parrot


しばらく前のことだが、
北海道の都市部ではない地域から来た外国人のお客さんに
本を郵送する機会があった。いくら村の人口が少ない、と言っても、
住所は ”北海道 ○○○ ”、名前は "ガイジン”でいいよ、というのでたまげたものだ。

先日は小笠原諸島の主島/父島からのお客さん。 
外国人ね。年末で久しぶりに東京に遊びにみえたらしい。
店内を小走りに歩き回って、Waoooooo---- !!! 英語の本ばかりだ !!! と満面の笑顔を見せてくれる。
父島は人口は2000人、学校は二つ。English bookstore はない、と話してくれた。島にガイジンは彼ひとりだけ。
-----で、宛先は "父島、ガイジン"----- で 大丈夫。(うん、当然、そうだと思った。)

Blue Parrot で10%引きになるポイントをもらっても、次に東京に来る時までにはきっとなくしてしまう、と言うので500円割引にしたら、”Thank you. これで吉野家に行くよ!!みそ汁付きだい!!イェーィ!!” とはしゃいでいた。
東京に行ったら牛丼の”吉野や”と”Blue Parrot”に行こうと計画していたそうだ。
 
彼のうれしそうな笑顔を見ていると、
暖かくてHappy な父島のエッセンスを丸ごと貰ったような気持ちになったわ。 
Thanks.